先週の金曜日はお昼過ぎからは奇麗な青空が広がり、
立ち寄ったオフィスから2分ほどの場所にあるアート・ギャラリーへ出向きました。
19世紀のオランダの巨匠、ダ・ヴィンチの解剖画スケッチに続き、
今回は「The Modern Woman」というタイトルで、
オルセー美術館所蔵の印象派展が催されていたからです。
今回はオルセー美術館のコレクションからドガ、ルノワール、ロートレックらの
スケッチやパステル画が集められていました。
規模は小さいけれど、
これはオルセーが初めてフランス国外で企画した展示会ツアーなのだそう。
5月にオルセー美術館に行ったときは、ドガは駆け足となってしまっていたので、
今回の展覧はとても嬉しかったです。
本館のコレクションは多少異なるけれど、前回とは違い、
作品を心行くまで鑑賞することができました。
「L’Absinthe (1875)」by Edgar Degas.
この絵の女性の表情に親近感を覚えて以来、とても好きな作品です。
パリに比べれば閲覧者も少ないので、
何も考えずに1枚1枚を鑑賞することができました。
でも今回の展覧で一番良かったことは、
普段オルセー美術館では見ることの出来ないものも見ることができたということ。
通常は展示されてはおらず、ルーブルで保管されているだけという作品もあり、
密やかに感動してしまいました。
説明書きには今回の展覧の大まかなテーマについて書かれていました。
フランスでは1850年代になると、
ポートレート、歴史画、そして風景画のような古典的テーマではなく、
「何か新しいもの」からインスピレーションを受けようという理念が生まれ、
それまで天使や女神として描かれていた女性を、
「ありのまま」に映し出すことが良しとされたといいます。
年齢、階級、宗教、そしてゴーギャンを含めれば民族・人種をも超えた
全体的な「女」というものをモチーフにしたのです。
そしてその先駆けが、例えばドガの描いた踊子たちでした。
巨匠たちが有名な絵を完成させるまでの経緯を
鉛筆やチャーコルによるデッサンなどで垣間見ることが出来、とても興味深かったです。
今回のこの「The Modern Woman 現代女性」は
それまで新しい何かを掴みたくてたまらなかった画家たちの葛藤と試みが現れていた、
面白い展覧でした。
“In painting you must give the idea of the true by means of the false.”
Edgar Degas
「女」を「実際に存在するもの」として捉えようとした19世紀のフランス画家たち。
その画家たちのほとんどは「男」でした。
それから200年以上も経った今、「男」たちは「女」をどう捉えているのでしょうか。