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Monday, July 29, 2013

Summer Scent


月はまだ天のなかに居る。
 流れんとして流るる景色も見えぬ。 
地に落つる光は、冴ゆる暇なきを、重たき湿気に封じ込められて、
 限りなき大夢を半空に曳く。
 乏しい星は雲を潜って向側へ抜けそうに見える。 
綿のなかに砲弾を打ち込んだのが辛うじて輝やく様だ。
 静かに重い宵である。 
小野さんはこのなかを考えながら歩いて行く。
 今夜は半鐘も鳴るまい。

  夏目漱石「虞美人草」より抜粋(新潮文庫 P. 241)


 お話の中に、教えがあるものや、読んでいて心が洗われる作品が好きです。
 またはアート的な要素が詰まっているもの。
 たとえ題材が好きな感じでなくとも、 
文体や言葉が美しいとぎゅっと胸を締め付けられそうになる。 
そんな感じのものがいいな。 
これは漱石が朝日新聞に入社してはじめて書いた長編で、
当時すごく話題になったそう。
 エゴイスティックなヒロイン含め、周りに登場する人物像も 
私の中ではあまり魅力的ではなくて 
どちらかというとお話の内容は好きではないのですが、
 本編に折り重ねられる言葉が素敵で、
何度も読み返したくなります。 
(ところで虞美人草とはまたまたポピーのこと)


先日母から届いた小包の中に私の好きなお香屋さんのお香が入っていました。
さっぱりしているのでお客様が来るときに焚いてもいいなと思いました。
 友人に頂いた陶器の小物入れを香炉にして。
 お懐紙も同じ友人の歌舞伎座のお土産で 
よく見えないけれど歌舞伎面の絵が入っていてお茶目♪


「虞美人草」にはいくつか気に入った文節があるのですが、
 今日はもうひとつだけ載せることにします。

 〜 

 外には白磁の香炉がある。
 線香の袋が蒼ざめた赤い色を机の角に出している。 
灰の中に立てた五六本は、一点の紅から烟となって消えて行く。 
香は仏に似ている。 
色は流るる藍である。 
根元から濃く立ち騰るうちに右に揺き左へ揺く。 
揺く度に幅が広くなる。
 幅が広くなるうちに色が薄くなる。 
薄くなる帯のなかに濃い筋がゆるやかに流れて、
 仕舞には広い幅も、帯も、濃い筋も行方知れずになる。 
時に燃え尽した灰がぱたりと、棒のまま倒れる。 

夏目漱石「虞美人草」より抜粋(新潮文庫 P. 352) 

===

 あるシーンのたったヒトコマに出てくるお線香の様子を 
10節に渡って彼が描く文章。 
実際にお線香や棒状のお香が燃えるのを観察していると、
漱石が言った通りの様なのです。
 香の世界が好きなので、こういった描写を見つけると嬉しくなりますが、 
それ以上に彼の詩のような表現が素敵すぎます。


鬼頭天薫堂「鎌倉四季の香り 星月夜」

Thursday, July 4, 2013

Kamono Seseragi


賀茂のせせらぎを焚きました。
コイル式はゆっくりと30分ほどかけて燃えてくれます。
火を点けているあいだよりも、
火が消えたあと、部屋の中にふんわりと漂う残り香のほうが好きです。
出かける前に焚いておいた香が、
家に戻って扉を開けたときにすっと感じる、その絶妙な加減がとてもいいのです。

香炉もお香と同じ、京都の二年坂にあるお店のもの。
いろんなお香店のお香をちょっとずつ試していくのが楽しいのですが、
そろそろストックもなくなってきました・・。

日本に行きたい。

二井三「加茂のせせらぎ」


Saturday, April 13, 2013

Every Rose Has Its Thorn

「本当にバラは棘まで美しいですね」 
「本当に、人間の欠点も美しい時がありますわね。私、そんなことをふと考えたのです」
 「バラには棘が必要なのですよ。あなたにだって棘は必要ですが」 
「私に棘がありまして」
 「なさすぎるのです」 
「私に棘がないのですって」 
「あります。あります。ありすぎます」

 武者小路実篤「棘まで美し」より抜粋 (新潮文庫P.157)


読みかけだった残りの半分をお風呂に入りながら読んでいたら、
 最後の最後で切なくて涙が出てしまいました。 
そして、この本を十代の時に読んでいなくてよかったな、と思いました。
 読んでいると先が読めてしまうプロットで、
たぶんどこにでもありそうな3角関係を描いた 武者小路実篤の「友情」。 
小説は読んでいるとどうしても主人公に感情移入してしまうので、 
お話の全体像を主観的に見る傾向があります。 
だから読み終えたばかりのときは、主人公が可哀想で。 
でもよく考えてみると、主人公のひとりよがりや、親友の気持ちが思い出されて。 
私は好きな人を友人と取り合った経験はないけれど、
 実際自分が主人公だったら、親友だったら、
ヒロインの立場だったら…と想像してみたら、 
その3人はそれぞれに強い人なのだなぁと気付きました。 
でもきっと十代の頃だったら、主人公が可哀想だな〜と思っただけで、 
それ以上に考えることはできなかったんじゃないかな。 
 「友情」では、人が恋するときに落ちやすい「思い込みと相手の美化」、 
そして、親友と愛する女性のどちらを取るかに悩む人間の心情が 
とても上手に描かれていると思います。 


武者小路実篤の作品をはじめて読んだのは2年前と最近で、
「棘まで美し」という作品でした。

「棘より美し」は「友情」とプロットが似ていますが、
決定的に違うのは主人公とヒロインの未来です。
どう表現していいか分からないけれど、
気付いたら、フワフワのブランケットに包まれていた、みたいな感覚。
読み終えて、素直にいいなぁと思いました。


"友達と話しして、 
話しがはずんで来て、 
二人の心が、 
ぴったり、ぴったり、あって、 
自づと涙ぐむとき、 
人は何者かにふれるのだ、
 何者かに。" 

 武者小路実篤「友達の喜び」


 志賀直哉や岸田劉生らと親交が深かったという武者小路実篤。 
「友達の喜び」はそんな彼が、友情について綴った詩のひとつです。
 調布にある武者小路実篤の資料館のホームページにこの詩が載っていました。 
無料でダウンロードできる資料もたくさんあります。 
他にも友達への思いを綴った詩が載っていて、それらを読んでいると、
 作者が「友情」でいいたかったことの意味がよくわかる気がします。
 言葉遣いが美しくて、素朴感のある、でもどこか抽象的な描写のもの。 
そんなお話が好きです。 
それを求めると古典文学が多くなるのですが、
とくに昭和前期の文学には 教えられるこのがすごく多くて、
この時代にの作品にもっと触れたいなぁと思うのです。
 次は是非「愛と死」を読んでみたい。 

 〜〜〜 

白檀(佐曾羅)を炷きました。 
精油のサンダルウッド(白檀)とはまったく異なる香りですが、 
力強さが秘められたラブストーリーのような趣です。


二井三「白檀 刻」

Friday, March 8, 2013

lt's Just Those Chilly Winter Nights

香りが好きなので、気が向くと香りを焚くようにしています。 
朝は空気の入れ替えと共にお香を焚くことが多いですが、 
夜だとお香は強すぎるので、すっきりとした精油を使うのが日課。 
精油はいろいろ揃えていますが、 
芳香を楽しむ目的ならば ブレンドのほうが簡単かな。


イギリスのキュー・ロイヤル・ボタニック・ガーデンのブレンドが昔から大好きです。 キューガーデンのものはカリス成城に売っています。 
今使っているキューガーデンは「リフレッシュ」。 
レモンやライムの中からふんわり香るミントとフランキンセンスに癒されます♪ 
それから 以前友人に頂いたブレンドはとても気に入ったので、 
大きいボトルのセットを買いました。
 これは主にお風呂に入るときに使っています。 
シングルの精油は単品よりも混ぜて使うことが多いですが、 
マージョラムとオレンジスウィートとレモンマートルを
同じ分量で混ぜたものがお気に入り。 
 たまに気が向いたときにするマッサージ、 
今は普通のボディ・クリームを使っているけれど、 
以前はオイルによくローマン・カモミールを混ぜて使っていました。
 優しい香りのカモミールは安眠効果があるので、夜にオススメです。 

 ~~~ 

 標高が高く海が近いところに住んでいるので、家の中はけっこう寒いのですが、
コンドミニアムの狭い我が家では、冬の間でもヒーターを入れないので、
湯たんぽを良く使います。


本体は厚みのあるゴム製の、昔ながらのものが好きです。 
ゴムに厚みのあるものだと、眠るときに準備しても翌朝まで温かいのです。
最近はお友達に勧められた半身浴も、できるだけするように頑張っています。 
あと、これまたお友達に教えて貰ったドライブラッシングも (これはいつかレポしたいと思っています)。 
 日本では冷え取り靴下というものが人気だそうですね。
 なんでも靴下を4足も履くんだとか! 素肌に触れるところは、
コットンやナイロンではなく、シルクだそう。 
なんでもシルクは毒素の排出を促すのだそうです。
 下着もすべてシルクにしたら、健康への近道になるかしらん。 

 上のカエル君のお腹にはヒートパッドが入っていて、 
腹痛や腰痛のときに電子レンジで温めて使います。 
我が家には電子レンジがないので、 オーブンで燃やさないように温めて。
ヒートパッドは北米ではとてもポピュラーで、 
ホームステイをしていた頃にホストマザーに教えてもらいました。 
私のは蕎麦殻が入っています。

Sunday, January 20, 2013

Art of Scents


先週あるお友達とお茶したときに、 うれしいプレゼントを頂きました。 
6種類のアロマセラピーのブレンドオイルなのですが、 
そのブレンドそれぞれに、有名なペインターの名前がついているのです。
 マティス、ラファエロ、ゴッホ、ダリ、ピカソ、ダ・ヴィンチ。 


マティスはローズとベルガモット 
ラファエロはイランイランとサンダルウッド 
ゴッホはエレミとスペアミント 
ダリはラベンダーとパチュリ 
ピカソはファーニードルとベチバー 
ダ・ヴィンチはシダーウッドとミルラ 

どのペインターの絵も、少なくとも1枚は実物を見たことがあるので、 
作品を思い浮かべたり、図録を開いて見たりしながら香りを聞いています。 
アーティストと香りが私のイメージとかならずも一致しないところも おもしろいです。 
このブレンドはカナダのアロマセラピー専門店のもので 
これまでも何度かブレンドオイルを買ったことがあったのですが、 
こんなおもしろいシリーズがあったのですね! 
シンプルなブレンドだけれど香りがとてもよくて、すっかり虜。 
とっても私好みのプレゼントでした♪ 

私は誰かのためにギフトを選ぶのがすごく下手で、
 あーでもないこーでもないと考えていると時間ばかりがすぎてしまう。 
でも彼女はとっても上手なのです。 
きっと贈る相手のことをたくさん考えて選んでいるんだろうなって思います。 
私も相手の方がニッコリ、ワクワクしてしまうようなギフトをえらべる、 
そういうカッコいい人になりたいなぁ。 

彼女に勧められた半身浴をしながら、 
今日はどれにしようかな~と選ぶのが楽しいです。 
どのブレンドもそれぞれいいので、 使い終わったら大きいサイズのものを買おうかな。 
それともいちばんのお気に入りを決めてその香りで統一しようかな。 
 この日は2時間近くおしゃべりに付き合ってもらったのですが、 
いろいろためになるお話を聞けて楽しかったです(^ ^) 


 以前勉強していたこともあるアロマセラピー、
最近はブレンドオイルを焚くだけになっていたので
もう一度精油の効用などを考えながら使おうと改めて思いました。

Friday, January 4, 2013

Breathe

あたらしい葉がちょろちょろ出ています。
明るい爽やかなグリーン。


(↓)数日前まではほんの少し芽が出ていた程度。
買ってきたときはただの蔓だったんですよ。


いつもより念入りに玄関を掃除し、お花を一輪飾り、盛り塩で清めたあと、
グレーのような紫のお香に火を点けました。


煙を燻らせるの「くゆらす」という言葉が、すごく好きです。
くゆらすとは煙を立てるという意味ですが、
私のイメージでは、ゆっくりゆっくりと、薄い煙が立ち上っていく感じ。

新年なので、ほんとうは新しいパッケージの香を開けるのがいいのですが、
家のまわりにまだ雪が残っているので、「雪ノ下」という名前のものを選んでみました。
雪ノ下とは鎌倉に今でも残る町の名前です。
お店によると、
雪ノ下とは鎌倉時代の政治の中心だったところで、
武士が嗜みをイメージしたものだそうです。
たしかに、華やかというよりは凛々しい、男性的な香りかもしれません。


木曜日は街中が霧に包まれていたそう。
おうちから見た山際は雲が横に伸びていて、海がかくれんぼをしていました。

鬼頭天薫堂「雪ノ下」

Thursday, June 7, 2012

Video: L’eau de Chloé


I like the short film of Chloé’s new perfume, “L’eau de Chloé.” 
It’s very cute. 
The colours of the film is so pale and it reminds me of 1970′s atmosphere
 (though I wasn’t born yet, so I don’t really know). 
I wonder what kind of scent that is. Fresh grassy scents? 
Wild rose? 

今年の3月に発売されたクロエの新作の香水「ロー・ド・クロエ」の
PVがとっても可愛いです。 
色彩がとても淡いので、なんだか70年代かのような雰囲気があります。
 普段商品化された香水は使わないのですが、どんな香りなのかな。 
グリーンの濃いトーン?
それともワイルドローズのような感じかな? 

 Images via Fashion Gone Rogue.

 

Thursday, March 29, 2012

Scent


梅のかたちの印香を焚きました。

Sunday, March 4, 2012

Spring


雛祭りでしたね。 
写真は妹がまだ6ヶ月だった頃、おひなさまの前で撮ったもの。 
このひな人形、今思うと、それはそれは素晴らしい手仕事の雛人形でした。 
いつかまた、誰かの春をお祝しよう。 
そんなことを考えながら、
 この雛人形たちはいつか来るかもしれない出番を静かに待っているのかもしれません。 

京都で買った「加茂のせせらぎ」という春らしいお香を焚いて、 
お友達からの春のお裾分けを頂きました。
 桜色の布の包みの中にはおひなさまの絵が描かれたかわいい小箱がみっつ。 
中身は虎屋さんの羊羹でした〜(^^)
ここの羊羹、甘くって大好きです。ありがとう。

Tuesday, February 7, 2012

Incense

日本の香りも外国の香りも大好きです。 


京都を訪れたとき、
12種類の植物を象った印香を買いました。
山田松香木店のもので、1ヶ月を象徴する植物のかたちになっています。
1月は松。

 印香はその細長いものとは違い、
粉末になった香木や漢薬を調合してからかたちを形成したもので、
聞き方はお線香と同じで火をつけるだけ。
でも棒状のものよりも燃えるのが早いかな、と思います。 
たまには印香も楽しくていいな。

I brought back some Japanese incenses from my last trip in Japan.
The ones on the photo above are a type of incenses used in Japan 
and I bought them when I was in Kyoto.
Each botanical motif represents a month of one year.
For example, pine is for January.
I actually prefer stick incenses to these shaped ones, called Inkō, because stick ones usually last longer, but these are pretty.


かなり前のことですが、お正月気分をちょっぴり味わいたいなあと思い、
日本から数の子を買ってきました。魚の卵、大好きなのです♪ 
はじめて自分で塩をぬいて、味付けをしてみたけれど、なかなか美味しくできた!

Wednesday, April 23, 2008

aromatherapy

9年前くらいから、アロマテラピーが大好きで独学で勉強しています。

昔からアトピーに悩まされていて、
小さい頃は両手両足、特に関節の辺りがひどくて大変でした。
でも小学校の高学年になるにつれ少しずつ良くなり、
季節の変わり目を除けばほとんど出なくなりました。

その頃、母の友人であったあるエステティシャンの方が
コーディアルのようものを勧めてくれました。
それを飲むと体内にあるアレルゲンが体外に出て来て
体内の毒素を出し切ってしまうというものでした。
そのコーディアルを飲み始めて数日したら、身体全身にアトピーが出できました。
ちょうど中3の修学旅行の頃で、半袖が着れないほどひどいのです。
関節の周り、頭皮、そして首はただれちゃうくらい。
そのせいで体調を崩し大変な夏でした。
何よりも痛みと痒みに耐えられない。
夜も眠れずストレスが溜まるので、コーディアルを飲むことをやめました。
我慢すれば良かったのでしょうが、当時私は中学生。

そんな時、母の別の友人が紹介してくれたのがアロマテラピーでした。
そのときのセラピストさんは、お風呂に数的入れるようにラベンダーとローズ、
そして呼吸用にペパーミントを処方してくれました。
そして患部にカオリンとオイルを混ぜたパックをするといいよと教えてもらいました。
いい香りに包まれて、さらにアロマを使うという行為がとても大人ぽく思えて、
嬉しかったのを覚えています。

"My Sweet Rose" by John William Waterhouse

当時それだけでアトピーが治まったというわけではないと思うのですが、
大きな要因だったということは確かです。
香りでどれほど癒されたか。
それからアロマは身近な存在になり、
大人になった今、少しずつ自分でもうまく使いこなせるようになりました。
今はほとんどアトピーの症状はありません。

アロマを生活に取り入れる場合、参考書があるととっても便利です。
私は塩屋紹子さんの「アロマテラピー・バイブル 」が好きです。
英語ならヴァレリー・ワーウッドさんの「Fragrant Pharmacy 」がおすすめです。

アロマテラピーの精油(アロマオイルではなくてエッセンシャルオイルです。アロマオイルには人工香料のものが多いので注意がいります)は、
ニールズヤードやカリス成城に売っているマギー・ティスランドが好きです。
カナダではSajeやEssentsで買っています。
 今のお気に入りはレモングラスとヒノキかな。