Saturday, August 17, 2013

Two Capriccio Pieces

誰かに曲を作って贈れること、 なんて素敵なジェスチャーだろうって思います。
 曲でなくても、相手への想いを絵や香りで表現できたら、
それもとってもカッコいいな。

 ヨハン・ゼバスチャン・バッハ(以下バッハ)は若い頃、 
長兄、次兄それぞれのために曲をつくりました。 
次兄のヨハン・ヤーコブがオーボエ奏者として 
スウェーデンの軍隊に参加し遠征することになったときに贈ったのが 
「カプリッチョ 変ロ長調 BWV922」。
 バッハが19歳のときの作品だそうです。 
曲には「最愛の兄の旅立ちにあたって」という表題がついており、 
楽章すべてにはそれぞれストーリーがあるのです。 
CDを持っていないので、
youtubeで有名なウィリアム・ケンプ氏、レオンハルト氏、 
そしてグルダ氏の演奏を代わる代わる聴いています。 
ピアノで聴くのと、チェンバロで聴くのでは、雰囲気がとても違います。


もうひとつは長兄のヨハン・クリストフにあてて書かれた作品、
「カプリッチョ ホ長調 ヨハン・クリストフを讃えて」です。


幼い頃に両親を亡くしたバッハは、義母と共に暮らせなくなると
14歳年の離れた長兄に引き取られ、チェンバロの基礎を教え込まれたのですが、
すでにオードルフでオルガニストとして活躍していまたお兄さんは
貴重なオルガンの楽譜をたくさん持っていたにもかかわらず
それをバッハに見せることを拒んだため、
バッハは何ヶ月もかけて、月の光を頼りにそれらの楽譜をこっそり書き写したそう。
でも結局はお兄さんに見つかってしまい、
写した楽譜もすべて取り上げられてしまったのです。
そんなことがあっても、バッハは
お兄さんに対しては感謝と尊敬の念を抱き、音楽の勉強を続けました。

私は「彼の曲はこうでああで」と語れるほど音楽に詳しくありませんが、
バッハは作品に表題(サブタイトル)をつけることをあまりしなかったので、
表題のついているこの2つの作品は珍しく、曲調も彼らしくないそうです。
でもこれらの曲は彼が20歳前後の作曲なので、
まだ自分のスタイルが定まっていなかったためなのかな。
でも私は曲それぞれが若々しく、
カプリッチョというようにどこか追いかけきれないメロディで
面白いなと思いました。
バッハは曲にどんな思いを込めたんだろう。
お兄さんたちとどんな話をしたんだろう。
お兄さんたちにとってどんな弟だったんだろう。
いろいろなことを想像しながら、聴いていました。

 Capriccio 'Sopra la lontananza del suo fratello dilettissimo' B-Dur BWV 992 
(Capriccio on the Departure of his Beloved Brother) by J.S. Bach
played by G. Leonhardt (harpsichord), by W. Kempff (piano), by F. Gulda (piano)

Capriccio in honorem Johann Christoph Bachii Ohrdruf BWV 993 
(Capriccio in E major) by J. S. Bach
played by R. Egarr (harpsichord) and by S. Richter (piano)