1週間ほどまえ、主人がバラの花束を持ってお家に帰って来ました。
結婚する前から1年に1、2回、
なんでもない時にこうしてプレゼントしてくれるのです。
数日前にジェイミー・フォードさんの
「Hotel on the Coner of Better and Sweet」を読みました。
昔「ヒマラヤ杉に降る雪」という小説が
イーサン・ホークと工藤夕貴の共演で映画化かれましたが、覚えていますか?
このフォードさんの小説(以下ホテル)も「ヒマラヤ杉」同様、
第二次世界大戦中のアメリカに住む日系人のことが書かれています。
面白かったのが、その描写が日系人やアメリカ白人ではなく、
中国系アメリカ人である少年によって描かれているところ。
舞台はシアトル、様々な人種が住むインターナショナル・ディストリクト。
物語は戦時中と1986年を行ったり来たりしますが、
事のきっかけは、そのディストリクトにある日本人街の
「パナマホテル」というホテルの地下で
「パナマホテル」というホテルの地下で
たくさんの荷物が見つかったというニュース。
それらの荷物は戦時中に日系人の家族たちが残して行った、大切な持ち物でした。
その荷物にあった鯉の絵が書かれた傘を見て、
主人公がずっと忘れたかった記憶が、どんどん戻ってくるのです。
内容をこれ以上書くと面白くなくなってしまうのですが、
戦時中、アメリカでは(カナダでも)日系人は収容所へ入れられていいました。
家も仕事も財産も、そして悲しいことに、
彼らの多くからは先祖や過去の思い出すら奪われてしまったのです。
北米の収容所はナチスドイツがユダヤ人たちに対して行ったそれとは異なりますが、
それでも日系人にとって苦しく悲しい時代でした。
ヒロインの少女はアメリカ生まれの日系二世で日本語は話せません。
本中に何度も出てくる「私はアメリカ人です」という言葉が、
当時まわりにはどれほど虚しく聞こえたのでしょう。
現在もパナマホテルは現役で、ティールームには、
その地下から出てきた荷物がいくらか展示されているそうです。
以前バンクーバーのガスタウンに
ストーリアムという歴史をバーチャルで楽しめる博物館があったのですが、
ストーリアムという歴史をバーチャルで楽しめる博物館があったのですが、
少しだけその日系収容所のことが触れられていました。
その頃私は日系収容所についてよく知らなかったのでびっくりしてしまって、
当時のボーイフレンドにいろいろ聞いてみたら
「日本人なのに知らないの?」とびっくりされました。
当時のボーイフレンドにいろいろ聞いてみたら
「日本人なのに知らないの?」とびっくりされました。
私の覚えている限り、日本の学校では習わなかったよ。
日本ではたくさん世界史を勉強して、それはそれでいいことだけれど、
アメリカやカナダだけでなく、海外で頑張っていた日系人たちのことを、
もう少し子供達に教えてあげたらいいのになと、そのとき思いました。
本の内容から逸脱してしまったけれど、
作品そのものはフィクションですが、その背景に散りばめられた歴史の断片、
そして当時のアメリカの中国系の家族について、
アイデンティティとは何なのか、
いろいろ考えることができてよかったです。
全体としてはラブストーリーですが、
シアトルのジャズシーンを垣間見れて、そういった部分は楽しいです。
カナダでの当時の状況については、
ジョイ・コガワさんが書かれた「Obasan」という本がおすすめです。
ジョイ・コガワさんが書かれた「Obasan」という本がおすすめです。
良かったら読んでみて下さい。