“I was surprised, as always, by how easy the act of leaving was, and how good it felt.
The world was suddenly rich with possibility.”
Chris McCandless
Photo via People Magazine.
古本屋を何軒も回ってやっと見つけた「Into the Wild」を読み終えたのは去年のこと。
ショーン・ペンによって映画化されたのでご存知の方も多いでしょうが、
賛否両論ある中、私にはどーんとくる衝撃がありました。
このお話は第三者によって語られる一種の自伝です。
1992年に行方不明になった青年が、
アラスカの奥地に捨てられたバスの中で死体となって発見されたという、
この辺りでは特に珍しくない事件のひとつ。
ヒッチハイクで北米を横断し、
最終目的地であるアラスカの大自然の中で
たったひとりで生活することを決心したクリス。
金銭的に恵まれた家庭で育った優秀な青年が
何故彼は家族も目の前の輝かしい未来もすべて捨てたのか。
彼の場合は親への不信と物質主義、
そしてすでに用意された人生への不義からものでした。
でも彼が抱えていたような葛藤って裕福貧乏関わらず、
ほとんどの人間が抱えて生きているのかもしれないけれど。
「馬鹿だなあ」と彼を嘲笑するのは簡単だけれど、
クリス青年は約2年間、
アラスカの僻地で狩りをしながら生きていました。
(直接の死因は飢餓や凍死ではなく、食料の一部として摂取した種の中に生えていたカビだったそう。)
そしてサバイバルを通して、彼自身が知りたかった何かを悟ったのです。
ボリス・パステルナークの「ドクトル・ジバゴ」という本の余白に
クリスが書いたパッセージは
“HAPPINESS ONLY REAL WHEN SHARED.”
人間はひとりでは生きられない、ということ。
私は彼の人生を肯定も否定もしないけれど、
すごい生き方だなと思いました。
だって、夢を持てと大人は言うけれど、
その夢を実際に叶えてきた人はどれだけいるのでしょう。
青年を馬鹿にしたり、嘲笑ったり、怒ったりせざる得ないのは、
夢を追いかけることの難しさを悟ってしまった人間の、
彼に対する恨めしさなのではないのかな。
彼に自分にはない強さを見たからなのではないのかな。
幸せとは「生きるということそのもの」なのかもしれないと、
最近よく思います。
自殺と言う意味ではないけれど、
本を読み終えたとき、
青年は来るかもしれない死を受け入れていたように感じました。
“He was looking for more adventure and freedom than today’s society gives people.”
“…at least they tried to follow their dreams.
That’s what was great about them. They tried.
Not so many do.”
Into the Wild by John Krakauer
*Krakauer, J. (1996).